1 概要
スパイスの組み合わせや具材、文化背景によって、カレーは世界中で驚くほど多様な進化を遂げています。カレーの種類とその特徴を、発祥国やスタイル別に分かりやすくまとめました。
(1) インド系カレー(すべてのカレーの源流)
インドのカレーは、小麦粉(ルウ)を使わず、多種多様なスパイスと素材の水分で仕上げるのが特徴です。地域によって大きく2つのスタイルに分かれます。
◯ 北インドカレー
ナンやチャパティに合う。濃厚でコクのあるカレー。
ベース;トマトや玉ねぎに加え、バター、生クリーム、カシューナッツのペーストなどを多用します。
〔 代表例〕バターチキンカレー、パニールマサラ(チーズのカレー)。
◯ 南インドカレー
米(インディカ米)に合う、サラサラとしていてキレのある辛さのカレー。
ベース; ココナッツミルクや、酸味のある果物(タマリンド)をよく使います。油分が少なく健康的です。
〔代表例〕サンバル(豆と野菜のカレー)、ラッサム(酸味と辛味のあるスープ)。
(2)タイ系カレー(ハーブとココナッツの融合)
タイでは「ゲーン」と呼ばれるスープ料理で、フレッシュな生ハーブやスパイスをすり潰した「カレーペースト」とココナッツミルクを使うのが特徴です。
▶グリーンカレー(ゲーン・キียว・ワーン)
青唐辛子やパクチー、レモングラスを使用しているため緑色をしています。爽快な辛さの中に、ココナッツミルクの強い甘みがあります。
▶レッドカレー(ゲーン・เผ็ด)
乾燥させた赤唐辛子を大量に使うため、赤く、しっかりとした辛味があります。
▶マッサマンカレー
タイ南部で生まれた、イスラム文化の影響を受けたカレー。シナモンや八角など甘い香りのスパイスを使い、ピーナッツのコクと甘みが効いたマイルドな味わいです。
(3) 欧州・日本系カレー(ルウが生む深いコク)
インドのカレーがイギリスを経由して独自の進化を遂げ、日本へと伝わった系統です。
▶欧風カレー
イギリスで小麦粉を使ってとろみをつけたカレーが、フランス料理の技法(ブラウンソースやバター)と融合して生まれました。コクとまろやかさが特徴です。
▶日本式カレー(ライス・カレー)
欧風カレーをベースに、日本の米(ジャポニカ米)に合うようさらに進化。小麦粉と油で練った「カレールウ」を使い、旨味(出汁や醤油などの隠し味)と強いとろみを持たせています。
▶札幌スープカレー
日本生まれながら、サラサラとしたスパイシーなスープが特徴。大ぶりの野菜やチキンがゴロゴロと入っており、薬膳料理のような奥深さがあります。
(4)その他の注目すべきご当地カレー
▶スリランカカレー
南インドに似てサラサラしていますが、モルディブ・フィッシュ(鰹節に似た出汁の塊)を使うため、日本人好みの強い「出汁の旨味」があります。複数の副菜とライスをワンプレートで混ぜながら食べます。
▶パキスタンカレー
水をほとんど使わず、肉(マトンやチキン)と玉ねぎ、トマトをスパイスでじっくり煮込んだ、オイルベースの濃厚なカレー。ホロホロに崩れたお肉の食感が楽しめます。
▶イギリスの「チキンティッカマサラ」
カレー発祥の地インドではなく、イギリスのグラスゴー(一説による)で生まれた「イギリスの国民食」。タンドリーチキンをトマトと生クリームのまろやかなソースで煮込んだものです。